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zoom RSS 「漂泊」番外編 小泉闇雲(こいずみ やみくも) その四

<<   作成日時 : 2007/07/13 10:53   >>

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その四 アテルイとラフカディオ・ハーン

 皆さんは、高橋克彦著「火怨(北の燿星アテルイ)」を読んだだろうか?大和から奈良時代に東北を生活の地としていた蝦夷(えみし)にまつわる話である。
 かつての蝦夷の長アテルイのイメージは、“獰猛で野蛮な北の戦士”といったものであった。
ところがアテルイ等の部族「蝦夷(えみし)」は、もともとは出雲を纏めていた大国主命(おおくにぬしのみこと)が祖先であり大和を治めていたそうだ。が、ニギハヤヒの神に従って海を渡ってきた「物部(もののべ)」とともに、その後(5〜6世紀時代)やはり海を渡ってきた今の天皇?の祖先に滅ぼされ東日流(つがる)に逃げ延びてきて東北各地に住むようになった・・・とある。史実のとおりであれば今の天皇家はまさに東北(蝦夷)の宿敵であったことがうなづける。
 余談だが、東北(多賀城町、川崎町など)で恒例となっている「荒吐ロックフェス」の「荒吐」とは、その昔野蛮といわれた蝦夷の俗称であり、このロックフェスには東北のそんなパワーを全国にアピールしようという趣旨で立ち上げられている。
 話はもどるが、蝦夷のふるさと出雲はラフカディオ・ハーンとは切っても切れない処。
 
 ロックファンにはおなじみの音楽評論家・増渕英紀氏がアイルランド(ケルト)についてこんな事を書いている。

 (前文省略)・・・・・とりわけ、幻想的なケルト神話と、キリスト教的価値観や宗教観、モラルとは明らかに異なり、言わばキリスト教以前の精神文化、民俗信仰の世界は実に興味深いものがある。自然界に宿る不思議な力=神 という概念や、白鳥、鹿、馬などの動物を神としてあがめる動物崇拝、ノーベル文学賞を受賞したアイルランドのシェーマス・ヒーニ−の「神は木に宿る」という考え方などは、そのまま日本の民俗信仰や神道とダブる。例えば、東北に根強く残る白鳥信仰、各地に残る鹿(しし、獅子=神鹿)踊りなどがあり、馬もオシラサマ信仰などが知られるし、昔から僕ら日本人は“神は木に宿る”という概念を持ってきた。
 まだある。アイヌのコロポックル、沖縄のキジムナーなどに通じる妖精や精霊。またアイヌやエミシといった日本の先住民も口承文化を持っていて、日本は古来から“言霊の幸ふ(さきはう)国”と言われ、言葉に宿っている不思議な力が信じられてきた。ケルトの有名な渦巻き文様も日本の縄文土器に刻まれているし、日本の雷紋と似ている。中でも組紐文様などは日本の結び紋、輪違い紋にそっくりだ。
 このような、まるで地下水脈で繋がっているような相似性はいったい何なのだろう。いま日本人がケルトに惹かれるのも、DNAに刻み付けられた日本の伝統文化の遠い記憶や感性が、どこかケルトと共鳴しあってるのではないかと思う。
 昨年、アイリッシュ・アメリカンの詩人、ジョン・モンタギュー氏の“ケルトには物質文明とは違う伝統があるから、アイルランドは日本と違って精神文明の大国となった”という発言を新聞紙上で読んで少なからずともショックを受けたものだ。かつて、アイルランド人を父に持つラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が惹かれたのは、日本の伝統文化に息づく豊かな精神だったのではないか?いま深刻なアイデンティティ・クライシスに悩む日本人がケルトに憧憬を抱くのは、ごく自然かもしれない。心優しき“同胞”のケルトは、僕ら日本人に今こそ日本の風土や伝統文化、歴史という自分たちの足下を見つめ直すべきだと教えてくれているような気がして仕方がない。 (1998年発行「FM FAN」より抜粋)

 これは驚き、すごい話である。日本の自然崇拝とエミシ(アテルイ)、ケルトのドルイド教(自然崇拝)、妖精と小泉八雲の「お化け」・・・・。
 ちなみに私は、エミシ(蝦夷)の地、岩手県北上(「火怨」では和賀として地名が出てくる)の生まれである。
 またしても、これまた小泉闇雲(やみくも)である。
 
 アイルランドという国は「宗教革命」も「産業革命」も経験していない。近代化は今やっと始まったばかり。この国では何事につけモデルチェンジはゆっくりと行われます。・・・と誰かが言った。しかし、EU統合以来目まぐるしく近代化へ向かっていることも事実のようだ。とはいえジョイスのほかイエーツなど4人のノーベル賞作家を輩出した国である。精神文明国という視点では、カメのようにゆっくり歩んできたものの、気がついてみれば一周遅れのトップを走っている国なのかも知れない。

 

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